健診センターからの電話
毎年受診している会社の健康診断がすべての始まりでした。
健康診断から約2週間後、見覚えのない番号から私の携帯に電話が入る。
たまにある勧誘の電話かと思い、嫌々電話に出てみると、その電話は健康診断を受診した健診センターからと分かりました。
えっ、この前の健康診断で何かありましたか?
尿蛋白の数値が異常です。
心配なので再検査をおすすめします。
尿蛋白?再検査ですか・・・??
はい。腎臓の機能が低下している可能性があります。
紹介状を発行するのでなるべく早めに再検査を受けてください。
まぁ、こんなやり取りだったと思います。
健診センターへの道中
健診センターから直接電話がかかってくることに驚きを隠せずにいたものの、どこか納得がいく不思議な感じでした。
というのも、昨年も尿蛋白の数値が異常で「再検査」扱いになっていたのです。
紹介状を発行してもらうために健診センターへ向かう道中にて、後悔の念が頭をよぎります。
なぜ、昨年の段階で再検査を受けに行かなかったのかと・・・。
妻と娘3人の顔が自然と思い浮かび、一歩足を進める度に後悔の度合いが増していきます。
大げさかもしれませんが、健診センターまでの道がいつもより長く感じ、到着することを少し恐れている自分がいました。
健診センターへ到着
平日の15時頃、仕事の合間を縫って健診センターへ到着。
毎年健康診断を受ける時間帯は午前中と決められており、午後に入るのは今回が初めて。
そこには従業員の方以外はおらず、静まり返っていました。
いつも人で溢れかえっている健診センターとの差に違和感を感じつつ、看護師の方から今回の健診結果の説明を受けます。
静まり返る部屋の中で響き渡る看護師の方の説明をどこか他人事のように聞きつつ、事の重大さに目を背ける自分がいました。
会社に近い病院の方が通いやすいであろうといった安易な発想もあり、会社から徒歩で通える病院の紹介状を発行していただくことに。
そして、健診センターをあとにします。
会社に戻る間に病院へ予約の電話を
紹介状を発行していただいた病院へ予約の電話をしながら歩き続けます。
腎臓内科の予約を行いたいのですが、早くていつ診てもらえますか?
一番早くて三週間後となります。
・・・(三週間後?)
それではその日で予約をお願いします。
大きい病院ならそれぐらい先になるかと思い、電話を切ります。
帰宅して妻に報告
いつものように仕事で帰りが遅くなってから話す内容ではないなと思い、その日は早く帰宅して妻に今日の出来事を伝えます。
心配する感情と、憤りを隠せない妻の複雑な想いがひしひしと伝わってきます。
それもそのはず。
昨年の健康診断の結果で再検査を通知されてから、妻は事あるごとに「再検査に行ってほしい」と私に言っていたのだ。
「仕事忙しいし今は行けないよ」と、そっけない反応を見せる私。
今振り返ればそんなもの嘘だ。
たった一日の検査も行けないほど忙しい人なんてこの世に何人いるのであろうか。
当然ながら、私はそこまで多忙を極めているわけではなかった。
妻の複雑な感情を目の当たりにしながら己の過去の言動を振り返り、まともに妻の目を見れなかった。
妻からのお願い
話も終盤に差し掛かったころ、妻からお願いをされた。
「もう少し早く診てもらえるようにお願いできないの?」
「その病院が無理なら、他に早く診てもらえる病院を探せないの?」
これ以上、妻の善意を無下にすることはできず、「分かった。健診センターに相談してみる。」と返事をする。
翌日、健診センターに相談を持ち掛ける。
すると、家の近くの大きな病院への紹介状を発行するので、予約状況を聞いてみてはどうかと勧められた。
早速、家の近くの病院へ電話をすると、10日後に診てもらえることに。
すぐに妻にラインを送り、妻も安堵していた。
妻が安堵している様子が異様に嬉しく感じた。
健康診断がすべての始まり。
これからどんな将来が待ち受けているのか?
再検査の結果はどうなのか?
私の闘病生活がスタートする。
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